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2023年1月15日(日)
説教:「押されっぱなしの人たちと共に」
聖書:マタイによる福音書4:12~17
イエスは悪魔から3つの誘惑を受ける(マタイ4:1~)。パンの奇跡、天使の演出、この世の繁栄ぶりを手に出来るという3つの誘惑。それは、「神の子なら」この世で神の力を魅せたら良いではないかと悪魔は語りかける。しかしこの世で生きることは、神でありながら人として生きること。現実の社会の只中にいる人々と共に生きることであることを示され、悪魔の誘惑を力強く退けた。ただその直後、「イエスは、ヨハネが捕らえられたと聞き、ガリラヤに退かれた」(4:12)とある。ここは先ほどの悪魔の誘惑を退けたのに対し、何か対照的で消極的なイエスを描いているように見える。ヨハネが捕らえられと聞き、身の危険を感じたからガリラヤへ退いたのか?
マタイ福音書で記されている「退く」は、マルコ福音書の並行箇所では「イエスはガリラヤへ行き」(マルコ1:14)となる。「行き・行く」は積極的に乗り込んで行く、攻めるということを意味するかと思うが、マタイはこの「退く」を用いる。何故か? 当時ユダヤ社会は、ローマ帝国の支配下にあり不自由を強いられていた。マルコが福音書を書いた時代は紀元70年頃で、抑圧に苦しむ民衆の抵抗運動が盛んな時代だったが、それから10年後のマタイの時代にはその抵抗運動の果てにローマ軍の勢力が強まり、神殿は破壊され、抵抗の芽はことごとくつみ取られてしまい人々が敗北感に打ちのめされ、反骨心どころか自分自身のアイデンティティさえ見失ってしまいそうな時代になっていた。圧倒的な権力に対し、力をもって立ち向かうことに挫折し無力感に打ちひしがれた時代、そんな時代に記されたのがマタイ福音書であった。
そのマタイ福音書が、新たに光を当てて指し示したのが「退くイエス」だった。力に対して力をもって制するのではなく、押し迫る力に対して退いていくイエス。それは一見消極的で卑屈な印象を持たれるかもしれないが、決してその意味において「退く」のではない。ガリラヤに退いたイエスは、カファルナウムの家に隠れていたのではなく、「異邦人のガリラヤ、暗闇に住む民、死の陰の地に住む者」たちのただ中に入って行き、そこでイエスは神の国を宣言される。マタイの描くイエスにあって、引くこと、退くことは消極的な姿勢ではなく、むしろ押し迫る力から引いたところで、押されっぱなしの人々と連帯することを意味し、それは優れて積極的な宣教の姿勢であったと思える。
私たちは、この神の国の宣言をどこに立って聞く者か。「天の国は近づいた」というイエスの宣言は、私たちにとって救いの言葉として響いて来るだろうか。私たちは常に「悔い改め」をもって神の言葉にゆさぶられ、励ましと勇気を頂いて、神の道に正されて歩むものでありたい。
(神谷)
■過去の説教(バックナンバー)
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米軍基地を抱えるこの沖縄は、「戦後」78年、「復帰」51年が経過しようとするにもかかわらず、基地から派生する事件事故が絶え間なく起き、常に命が危険に晒され人権が軽視され続けています。
2012年のオスプレイ強行配備には、多くの県民が抗議の声を上げ、普天間基地ゲート前の座り込み、シュプレヒコールがなされました。この状況に“私も参加したい”と思っておられるキリスト者も少なくはなかったことでしょう。その思いを踏まえて、普天間基地ゲート前でゴスペルを歌い、抗議のかたちを表し続けています。また、月に一度は辺野古ゲート前でもゴスペルにて抗議を行います。
主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。
彼らは剣を打ち直して鋤とし/槍を打ち直して鎌とする。
国は国に向かって剣を上げず/もはや戦うことを学ばない。(イザヤ書2章4節)
<行動開始2012年10月29日~>毎週月曜日pm6:00-7:00(※状況によって早めに終える場合あり)
2023年の実施期間:1月16日~12月11日
(普天間基地 野嵩ゲート前に集合)
・主催:普天間基地ゲート前でゴスペルを歌う会
E-Mail:futenma.bap@isp.okinawa.jp
「普天間基地ゲート前でゴスペルを歌う会」
ブログへのアクセス:http://futenmagospel.ti-da.net/